境界性人格障害の治療における薬物療法境界性人格障害の治療において薬物療法は中核のモノになってきます。何故かというと、境界性人格障害とは脳内の神経伝達物質の過不足によって生じる先天的なものが原因である場合が少なくないからです。境界性人格障害の治療において薬物療法は、ほぼ例外なく行われています。
境界性人格障害の治療に用いられる薬 (抗うつ薬) ・SSRI(新世代型抗うつ薬) 主に脳内のセロトニン濃度を増強させるために用いられます。境界性人格障害の人の脳ではセロトニンという神経伝達物質が不足していることがある研究により判明しました。セロトニンとは心を安定させる働きを持つ神経伝達物質で、セロトニンが不足していると、感情がコントロールできないという境界性人格障害のような激しい気分の変動を特徴とする精神疾患にかかりやすくなります。 そのため、境界性人格障害の治療においてSSRIが処方されることは非常に多いです。 ジェイゾロフト、ルボックス、パキシル、レクサプロなどが主に処方されますが、頻度的に言えば近年の傾向では、レクサプロが比較的多く処方されている傾向が多いようです。 (抗不安薬) ・ベンゾジアゼピン系抗不安薬 境界性人格障害の人の脳ではリラックスに重要なGABA(γアミノ酪酸)という神経伝達物質が欠乏していることがわかっています。したがって、境界性人格障害の治療における薬物療法として、GABAの濃度を上げるベンゾジアゼピン系抗不安薬が処方されることも少なくありません。 GABAの不足は境界性人格障害に限らず、ほぼすべての精神疾患において確認されており、そのため、精神医療においてベンゾジアゼピン系抗不安薬の処方率はかなり高いです。 デパス、レキソタン、ワイパックス、ソラナックスなどが代表的なものになります。 (気分安定剤) ・抗てんかん薬 気分の変動を収めるために、境界性人格障害治療における薬物療法では、抗てんかん薬がよく処方されます。これは境界性人格障害の患者の方だけではなく、躁うつ病の患者の方にも処方頻度の高いものです。 パルブロ酸ナトリウム、ラミクタールなど (注意点) 境界性人格障害の治療において薬物療法は盛んにおこなわれていますが、いまいち成果を挙げておらず、ほとんど境界性人格障害が改善しないという話をよくネット上で耳にします。 それはこれらの治療薬ことに前者のSSRIは境界性人格障害の症状の改善にほとんど効果がないばかりか、逆に悪化させかねない代物であるからです。後者のベンゾジアゼピン系抗不安薬に関してはそこまで問題はありません。 ただし、抗うつ薬と抗不安薬を併用することで、危険な行動や反社会的な行為をしてしまう患者さんの例が数多く、国内外を問わず、報告されています。 (境界性人格障害の治療における正しい薬物療法とは?) 境界性人格障害は前頭葉の機能障害であるということを考えればよくわかります。ドーパミンに作用する薬が境界性人格障害の治療において、上にあげた三者よりも有効なのは言うまでもありません。 このことは私のブログ、境界性人格障害の治療【東京】について詳しく説明してあります。 感情や衝動のコントロールの問題が生じるのは前頭葉の機能低下が存在するからです。前頭葉にはドーパミンという神経伝達物質の経路が多数集中しており、ドーパミンを上昇させれば前頭葉の機能は高まります。したがって、認知機能が高まるので、感情や衝動コントロールの問題もかなり改善されていくことでしょう。 ※本ブログ、トップページにある注意事項を必ず留意されたうえ、この記事を参考にしてください。 |
境界性人格障害の治療における薬物療法(私の評価)
境界性人格障害の治療にSSRIのようなセロトニン増強を用いたり、
気分安定剤として抗てんかん薬を処方されることが少なくないようですが、
これらの薬は前頭葉の機能を低下させる傾向にあるため、感情や衝動の
コントロールの問題が悪化することは少なくありません。
それよりもドーパミンを増強する薬を処方する薬物療法の方が正しいということが
できるでしょう。
【当サイト全記事一覧】
・境界性人格障害の治療における入院療法
・境界性人格障害の治療における弁証法的行動療法
・境界性人格障害の治療におけるメンタライゼーション療法
・境界性人格障害の治療における認知行動療法
・境界性人格障害の治療における力動学的精神療法
・境界性人格障害の治療(超まとめ) (←トップへ戻る)
気分安定剤として抗てんかん薬を処方されることが少なくないようですが、
これらの薬は前頭葉の機能を低下させる傾向にあるため、感情や衝動の
コントロールの問題が悪化することは少なくありません。
それよりもドーパミンを増強する薬を処方する薬物療法の方が正しいということが
できるでしょう。
【当サイト全記事一覧】
・境界性人格障害の治療における入院療法
・境界性人格障害の治療における弁証法的行動療法
・境界性人格障害の治療におけるメンタライゼーション療法
・境界性人格障害の治療における認知行動療法
・境界性人格障害の治療における力動学的精神療法
・境界性人格障害の治療(超まとめ) (←トップへ戻る)